長らく文章を書いていないと、語彙力が失われていくことに危惧を感じます。
今回は、4月1日に配信したメルマガを紹介させていただきます。
ボディワーク関連のさまざまな事柄について、その時々での発見を題材にして書いています。
お読みいただき、面白そうだなと思われましたら、メルマガ登録をお願いいたします。
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触察&ボディワークメール講座
【自閉症の言語世界とボディワーク】〜ボディワークの限界と可能性〜
クライアントさんが読んでも面白く、ボディワークに興味がある方にとって有益なメルマガにしようと日々、健闘の最中です。

【言語とボディワーク】
ボディワークはなぜゆえボディワークなのか。
筋膜リリースとどう、異なるのか。
このメルマガは「狭義のボディワーク」について情報発信することを目的としていますので、今回は、ボディワークの要のひとつである「言語」について最近考えたことを、発信してみたいと思います。
【ブックフェアで出会った本】
チチカカコフェアは有名出版社6社共同で行われるブックフェアです。
筑摩書房「ちくま学芸文庫」、中央公論新社「中公文庫」、KADOKAWA「角川ソフィア文庫」、河出書房新社「河出文庫」、講談社「講談社学術文庫」、平凡社「平凡社ライブラリー」の各レーベルの編集長が強く推薦する書籍を集めたブックフェアです。
教養を高めるための四部門
「思想:じぶんで考える」
「社会:みんなで生きる」
「歴史:過去と対話する」
「自然:万物の理(ことわり)を知る」
が書店の一角のコーナーで展示販売されます。
ご存じの方もいらっしゃると思います。
今年はその第七回目でした。
常に仕事のことばかり考えていて、つい仕事に関する書籍ばかりを購入してしまいます。
ああ、こうして「本当に自分の好きなもの」が分からなくなっていくのだろうと嘆かわしい気持ちが頭をよぎりましたが、仕事に関連しつつもおもしろいと思える本は、書店に立ち寄る度に見つけます。
チチカカコフェアで購入したのは2冊。
そのうちの一冊が
『自閉症はつがる弁を話さない』松本敏治著 角川文庫(初版令和2年9月)
少し後で読み始めた本が(大抵は2冊、同時進行で読書します)
『「わたし」をめぐる冒険』浜田寿美夫 洋泉社
『「わたし…」』は小川隆之氏の蔵書です。
2005年初版の『自閉症はつがる弁を話さない』に、松本氏と意見を同じくする文章が、偶然にもはっきりと書かれていました。
「わたしの知っているかぎり方言を使う自閉症のこどもはいません」

【自閉症の世界と言語】
浜田氏は京都大学大学院を経て奈良女子大学で教鞭をとる発達心理学、法心理学、供述分析の専門家です。
『私をめぐる冒険』は、章ごとにその専門分野に関連する知識であふれ、実例も多く挙げられており、読んでいて楽しく、読了後は心地よい知識の重みが残ります。
さて、一部を著書から抜粋しつつ、自閉症について読み進めます。
赤ちゃんは言葉を発する前から声で親を呼ぶことができる。話し言葉は相手に対する働きかけや訴えに端を欲するもので、本来自分と相手の身体につき沿うかたちで登場するとし「しかし、自閉症の子はそこが苦手」であり「彼らには肉体を持った他者がいない、あるいは希薄なのです」と述べています。
例)相手に「本があるよね」と語りかけるべき場面で「本がある、本がある」と終助詞を繰り返す(方言の話を少しすると、方言はこの語尾・終助詞に特徴がある。〜だぎゃ、〜だっちゃ、〜だべなど。終助詞がうまくつかえない自閉症者は方言も苦手である)
浜田はまた「場面に貼りつくことば」と表現する終助詞の反復についても述べており、自閉症者は終助詞「〜したいですか?」「〜したい?」が理解しがたいために記憶に残る場面の言葉を繰り返す傾向にあると解説しています。
例えば、自分からミルクが欲しくなった時に、ミルクをくださいという代わりにミルクをもらったときに聞いた言葉「ミルク欲しいですか?」や「ミルク、欲しい?」を繰り返してしまう傾向にあります。
帰宅したら自ら「おかえり」というのも同じ理由からです。
浜田の優しく客観的な立場は「自閉症が自分と相手の立場を混同しているというのなら、その前に私たちが視点の交換を無意識に行っていることの不思議さに着目したほうが良いと思います」と締めくくっています。
【ボディワークに限界はあるか】
自閉症関連のこの二冊を読み進めながら、はたと考えました。
主客を行きつ戻りつしながら、自らの経験をつぶさに観察するボディワークは果たして万人むけなのだろうか?
ことばのコミュニケーションに重きを置くのであれば、どのような対話が必要となるのであろうか?
自らの身体に対する独自の世界観(私という概念と私という空間/範囲)をもつ人たちはそもそも私たちと異なる快・不快の世界観をもつのではないだろうか?
このメルマガでは、あくまでボディワークに関連する事柄に範囲を限定し、方言については触れず、自閉症の方々のコミュニケーションの方法と、そうした方々とのセッションの可能性について考えてみました。
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4月1日は世界自閉症デーでした。
知り合いの自閉症の方は驚異的な記憶力の良さで、その方が関わる全員のスケジュールを(聞いただけで)覚えています。職員Aさんの出勤日はいついつ、Bさんはいついつで、Cさんは週何日、Aさんは週合計△時間お仕事をします、Bさんは△時間ですが〇月〇日はお休みです、など。
あの記憶力が私にもあれば、と羨ましい気持ちでいっぱいになりました。
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