2015年11月02日

アドラー心理学基礎講座理論編

先日は、パルペーショントレーニングの参加者の方に許可をいただいて(誠にありがとうございます)、野田俊介先生による「アドラー心理学基礎講座理論編」に参加しました。
2日間開催で、初日の参加は叶いませんでしたが、2日目は9:30−16:30までどっぷり野田アドラーに浸ってきました。

アドラー心理学は、「心理学」に分類されていますが、多くの参加者の方にとっては「善く生きるための生き方指南」となっているのではないかと思います。
アドラー的に生きるということは「すべきでことをし、すべきでないことはしない」ことであり、すべきであるかどうかは情緒的な判断ではなく道徳的な判断に基づいています。
道徳というのは、命や財産に変えてでも(それを失おうとも)守らなくてはいけないものです。
それは人としての尊厳だったり、家族であったり、救済しようとする心だったりするのだと思います。
科学の発達により私たちの生活は便利になりましたが、道徳より金銭的な豊かさが善となってしまった歴史があります。

この世の中を「善い場」に変えていくためには、意図的に「大衆」へと陥らないよう注意深く選択をし続ける事だと野田先生は言います。つまりは「情緒に乗せられて右往左往するなかれ」と自らを律して生きなくてはいけないのですが、ムード=大衆がその時代その時代で「社会的な約束」を作っているのですから(30年前には渋谷のハロウィーン騒ぎなど皆無でした)それに反して生きていくというのは「変わった人」というレッテルを張られることを辞さない意思が必要そうです。

さて、今回の講義は非常に濃い内容でしたので、かいつまんでお伝えしたいと思います。
初めにアドラー心理学として存在していた思想を、アドラーのお弟子さんが5原則に分割したのが「基本前提」です。
1.個人の主体性
2.目的論
3.全体論
4.社会統合性
(5.仮想論)
この5つが全体を作り上げることによりアドラー心理学が立ち上がります。

アドラー心理学を深く理解するためには、心理学の移り変わりと哲学を理解する必要があります。アドラー自身はカント哲学や、ニーチェの無神論などにも影響を受け、また1900年代の心理学者(マイクロカウンセリングのアルバートエリス)などに影響を与えました。

アドラーの心理学者をアドレリアンといいますが、第一世代(アドラー自身)から現在の第四世代のアドレリアンはその時々で哲学や心理学の理論を取り入れながらアプローチ法を練ったようです。
第四世代(野田先生の世代)は構築理論世代で、ナラティブアプローチ(患者やクライアントとの会話が中心となる。非線形であり、原因結果論と直結させない)が主流となったようです。

まだまだお伝えしたいことはたくさんあるのですが、あと一つだけ。

アドラー心理学はその人の気質を「性格」とはいわず「ライフスタイル」といいます。
性格のように変えにくいものではないという意味合いがそこには込められています。
習慣的な選択を変えることができれば、ライフスタイルは変わる、それほどに柔軟性があるのがライフスタイルです。
人間の細胞は生まれ変わるが脳細胞は生まれ変わらない、と言われますが、その脳細胞ですら分子レベルでは入れ替わっているそうです。

私たちは変化を起こすことなく生命を維持することはできない、生きていけない。
そう思える瞬間を実感できたらいいのにと思いつつ(やはり瞑想でしょうか…)今日はここまでで終了としたいと思います。

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11月4日スタートの「一から始める触察解剖学」は単発参加も可能です。
11月から2月まで、月に2回のゆっくりペースで行います(11月のみ3回)。
11月―4日、11日、25日
12月―9日、23日
1月―13日、27日
2月―10日
全8回、水曜日18:00−21:00です。

「一から始める触察解剖学」
開催日時:水曜日の夜間(19:00−21:00)
会場:オープンパス・オフィス(東京都新宿区西新宿4−32−4)
講師:小川隆之、斎藤瑞穂
全8回参加の方/1回6000円、48000円+消費税
単発参加も可能。日時、金額の詳細はこちらでご確認ください。 
http://rolflingopenpath.sblo.jp/article/164099027.html

皆様のご参加を楽しみにお待ちしております!
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2015年05月29日

アドラー心理学的に考えてみた1

先日のブログで、以下のような記述をしました。ブログの内容とは関わらない私的ないわば愚痴でしたので、本日のブログに場所を移し、再度考察してみたいと思います。

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−現在、私が個人的に参加しているセミナーに於いての体験を元に。ある参加者の方を見て感じたこと−
…質問の仕方も質問の言葉も不躾で「生徒はどんな内容であっても質問する権利がある」「率直であることは謙遜よりも大切である」と思い込んでいる様子がうかがえ、まわりは辟易としているのに本人は正しいことをしている(それともこれまでのご自分の在り方を変えたくないのかもしれません)という配慮の無さがうかがえます。
また、先に進もうとする参加者の足を引っ張るような言動を取ったりしているのを目の当たりにすると、講師を体験している立場とすると、我が事のように疲労を感じます。
講師に対抗できるほどの知識と技術がある方だったら私達もこんなにストレスを感じずに済んだのに、と、誰かがぽつりと言いましたがなるほどな思ってしまいました。
愚痴のような内容になってしまいましたが、本題に戻ります。
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この記述について「講師はいつでも大切に扱われなくてはいけないと思っているのですか?」「言いたいことを言ってはいけないのですか?」という質問を受けましたので、もう少し説明をさせていただきたいと思います。

主導権争いについて考えてみました。主導権争いには5つの種類があります。
1.賞賛を求める
2.注目をひく
3.権力闘争(主導権争い)
4.復讐
5.無能力の誇示

アドラーは、人間は社会的な生き物で、対人関係の中で生きていると考えました。
子供であろうと大人であろうと、私達は集団の中に自分の居場所を持ちたいと考えて生きています。所属している実感を持って生きたい。仲間だと感じたい。そうした願望があります。

そのために褒められたい。褒められることで安心を得たい(1の段階)。
それが叶わないとなると、今度は褒められる以外の方法で注目を得たいと考える(2の段階)。
褒められないとなると、別のやり方、良くあるのは悪いこと(社会的に不適切な行動)をして注目を得ようとする。
それでも注目をひくことに失敗すると、口論をしかけたり、正面切って相手に勝てないと思うと、裏に回って復讐を始めたりする(3と4の段階)。
もっと関係が悪化すると、無能力の状態を見せ、自分の殻に閉じこもる(5の段階)。

対人関係を円滑にするための方法として、穏やかな会話、相手を尊重する会話をするべきだ、とアドラー心理学の第一人者である野田俊作先生は強調します(そして実際、ご自分の子供さんとも敬語で語り合っています)。
例えば相手が「だから、何が言いたいんですか、結局は?」というけんか腰の質問の仕方をしたり、不躾な物言いであるとき、そこには権力闘争が起こっています。
アドラーは感情は相手を動かすために使う、と考えますが、こうした物言いは「何か言ってみろ」という縦の関係性を作り上げてしまいますし、そうした問いかけに「喜んで答えたい」とは思えないと思います。
「残念ですが、あなたの問いかけ方に私は答えようと思う気持ちをくじかれ、お答えしたい気持ちがなくなってしまいました」と言われても仕方がありません。

目的が「問いに答えてもらうこと」であれば、そのための問いかけのマナーを持っているはずです。
講師側はそうした闘争的な態度に穏やかに対応するよう心掛けている様子が見えますが、これが闘争を引き起こさないための努力であることは充分に見て取れます。
闘争が起こされかけているこうした場で、正しさを求めたり、また相手を裁いたりすると、更に縦の関係を作り、終わりの無い権力争いが続くことになります。

結局のところ、先のブログで書きたかったのは「こうした権力争いが小さなコミュニティーで日常的に行われているけれど、客観的にそれを眺めるための手引きがあれば、起こっていることを冷静に観察することができる」ということだったのです。

10人いたら、そのうち本当に気が合うと思えるのは数人、あとは気分や状況によって仲良くなったり仲良くできなかったり、1人はウマが合わないだろうと野田先生は書いていますが、そう思って生きていけば、自分が嫌われた時にも大して傷つかないなと思います。
思うのと、実際に実感して生きるのとの間にいつでも差はありますが。
だからこそ、自分を自分で「意外によく頑張れているんじゃないですか?」と「勇気づけて」生きていきたいなあと思います。


参考文献『ボクたちのアドラー心理学入門』野田俊作講演集

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