2017年01月23日

ソマティカルワーカー養成トレーニングが始まりました!

第三回ソマティカルワーカー養成トレーニングがスタートしました!
内容を言葉で説明するのが難しいので、もしご興味をお持ちいただけましたらどういう内容で講義が進んでいくのかは動画をご覧いただければ幸いです。


今回は演習にも十分に時間をかけることができました。
理論と演習がうまく対応した内容にすることができたので、戸惑いも少なかったのでは…と少しは自分を評価したいと思います。

ソマティクスは「内観」ではなく「内感」です。
「今、ここ」という一点のみでの静的体験を観察するのではなく、「フロー」つまりは継続していく動きを連続的に追っていく行程そのものがソマティクスです。
座ったままで自分を見つめるときに立ち起こる心理的な体験(想像、回顧、夢想など)ではなく、その都度消えていく身体運動を捉え、それに基づき次なる動きが立ち起こり、それが新たな変化を生み連鎖が起こります。

ソマティクスが変えたいのは「心理」や「認知」そのものではありません。
ソマティクスが変えたいのは「プロセス」です。
そのためには心理学や認知科学を利用するかもしれませんが、そうした知識は途中経過であって、ゴールは身体的―構造的、機能的、動作の制御、環境との関わり―などの変化です。

そうでなければフェルデンクライスメソッドのトマスハナ氏はこれほどまでに「ソマティクス」という定義を大切にしてこなかったでしょう。
その時の世の中の主流は「心理」だったのにも関わらず、soma(からだ)にこだわったのには、それが人々が生きる上で、主体となるべきものだと考えたからではないでしょうか。

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さて、2月の花は梅です。
日本の文化では季節を先取りするのが粋で、例えば桜の季節に桜の帯をするなんて本物に対して失礼だ、と遠慮する奥ゆかしさがあります。
ブログのデザインは今のところ梅なので、はやいところ、ブログのお色直しをしなくちゃいけないなと思いつつ、本日はここまで。

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2016年12月13日

意識しなくても感じる神経回路

ぽっかり時間が空いたのでブログを更新することにしました。
1月からソマティカルワーカー養成トレーニングがスタートします。
今回も新しい情報を仕入れるべく資料を読み込んでいます。
そうした中で、知覚に関する興味深い論文を読みました。

これまでの仮説は「皮膚感覚の知覚のためには、外因性ボトムアップと内因性トップダウンが脳の領域で連合することで皮膚感覚は起こる」でした(このブログでは仮説1とします)。
この仮説に基づくと、私たちは注意を向けなければ知覚ができないことになります。
脳科学総合研究センター行動神経生理学研究チームの村上正宜と鈴木崇之は、ラットを使ってこの仮説を検証し、これ以外にも脳の回路が存在することを実験で証明しました。

実験の結果、外的刺激は第一次体性感覚野に送られその領域が活性化され、次に第二運動野が活性化する。その後再び後肢からの情報が第一次体性感覚野に送られるということがわかりました。
これは、皮膚感覚が外因性ボトムアップ入力として第一次体性感覚野から高次脳領域である第二運動野に送られたのち、再び第一次体性感覚野に「外因性のトップダウン入力」としてフィードバックされることを示す、と村上・池田は仮説を立てています(このブログでは新仮説とします)。

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次いで、ラットへの膜電位イメージング法を用い、大脳新皮質の神経活動を観察しました。
この観察から、従来提唱されている(仮説1)内因性トップダウンと外因性ボトムアップ入力の連合入力が与えるのと同等の作用を、第二運動野の5層、遅発性神経活動に対して外因性トップダウン入力が単独で担っていることを確認しました。
これは皮膚感覚の知覚における新しい神経回路モデルだそうです!

上記の結果を踏まえ、村上・鈴木は最終実験として光刺激を使ったラットを用いてテクスチャーの違う床を走らせる実験を行いました。
光刺激を与えることで外因性トップダウン入力を抑制すると結果に有意差がでました。光刺激をしないマウス(外因性トップダウン入力がされたラット)は80パーセントの正解率で迷路を走り、対して光刺激で外因性トップダウンが抑制されたラットは65パーセントの正解率を出しました。

一連の実験から、村上と鈴木は「正常な皮膚感覚の知覚には、第一次体性感覚野への外因性ボトムアップだけでなく、その後の第二運動分野から第一次体性感覚野への外因性トップダウン入力が必要」であることを裏付けました。
また、新たに発見した神経回路は従来の回路とは異なり、注意をしなくても知覚できる回路として利用されている可能性と脳が二つの異なる回路を使い分けている可能性も示唆しています。
この実験結果は脳障害により失認の研究にも応用できるのではないかと考えられています。

各実験の詳細は割愛して、まとめてみました。
研究者って、つくづくすごい人たちです。

2016年11月23日

第11期臨床セッション終了(高評価でした!)

長かった第11期ファシャワーカー養成トレーニングが終了しました。
先週末の土曜日、そして次ぐ日曜日がトレーニング最後の二日間で、両日ともクライアントモデルを招いての臨床セッションでした。

臨床セッションの評価はクライアントモデルの方々にお願いしています。
質問紙に記入をしていただくことで、受講生のみなさんがどの程度の精度でセッションを行えているのかの評価にするのですが、記入する側にとっては頭を悩ませる時間かと思います。
批判的になりすぎても良くないし、甘すぎても良くないので、皆さんに配布する質問紙は評価の項目を細かく設定し不平等や私的感情が伴わないように工夫しています。
クライアントモデルの方々の評価はいつでも真摯で思いやりがあり、講師側が見逃している評価すべき点や注意事項などを細かく伝えてくださいます。

そうした評価を見ながら、また講師という立場で「学ぶときには自分を戒めながら学ぼう」と思わされます。

自分に還元して考えてもそうだと思うのですが、基本ができていなかったり、ごまかしを続けている人というのはボディワークに限らず他のことでも、そしてこれまでも、ごまかしながら生きてきた人なのではないかと思ってしまうのです。
ひとの能力というのは平均的で、程度の差は多少あるとしても、あることに秀でている人は他のことにも秀でているし、丁寧な人はどこでも丁寧な施術をするのだろうし、ぶきっちょさんはボディワークと全く関係のないことをしていてもぶきっちょさんなのだと思います。
一つのことだけに秀でていたらこれは「天才」と呼ばれる人なのだろうし、そうした人は逆に施術者には向いていないかもしれません。
「評価」という単語を使うと上から目線の意見のように思えるかもしれませんが、日常においてもこうした評価は無意識に相互に行われているのだろうと思います。

そして、自分の立場を真っ新にしてトレーニングという場に参加する大切さというのも11期生の皆さんを拝見して身に染みました。
自分の学びが上手くいかないときでも、その原因を自分以外に求めない姿勢は見習うべきものでした。
ウチ(自分が所属する団体)―ソト(それ以外)の閉鎖的な考えも持たず、逃げの理由にせず、いつでもニュートラルにいられるというのは出来そうで出来ないことだと思います。

こうした方々なので、質問紙でもなかなかの高評価をいただいていました。
姿勢分析もしっかりしていたし、分析から割り出す主要筋も理にかなっていました。触察を基礎としたリリースも完璧で、特に浅筋膜の操作の習得度の高さには驚かされました。カウンセリングの対人技法も誰一人注意されることなく、この点でもクライアントモデルとして参加した小川氏の安心度は高かったようです。

すべての行程を終えてほっとされたと思いますが、私たちもほっとしました。
そうは思われないようですが、講師側も臨床セッションが一番気疲れします。
習得されたテクニックを日常でも利用していただければ嬉しい限りです。
みなさま、今度ともどうぞよろしくお願いいたします。

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