2020年02月18日

痛いところは施術しません

ボディワークについてご理解をいただくために、いろいろと工夫をしています。
メールマガジンもその工夫のひとつです。
先日は【触察の5大効果 実は4大効果+1テクニック】というタイトルで発行しました。
ボディワークと触察のつながりが理解できないという質問がありましたが、ボディワークは「個々のつながりとホーリズム(全体性)を大切にする」技術です。
ボディワークの2大要素の
○脳の可塑性
○全体性
のどちらも理解するためには、生活するうえでの筋肉同士の関連性を理解しなくてはいけない、そう思うのです(それを知らずにどうやって全体性を理解するのでしょうか)。
そのためのツールが触察です。主に
○筋肉(筋膜)同士のつながりが理解でき
○筋膜という感覚器を操作するために役に立つ技術
だからなのです。
(筋膜と可塑性とのつながりについてはセミナーやカルチャー講座でお伝えし、ブログやメルマガでも時々触れています)

ボディワークの全体性についてもっと具体的にお伝えするためには、実際の症例に基づいて解説できれば分かりやすいかと思うのですが、まずは守秘義務があり、また100%をお伝え出来ないので、どうしたものかと考えています。
でも、少しずつその努力をしていこうと思います。

まずは自分のケースをお伝えしてみたいと思います。
先日、日常生活に支障をきたすような痛みが背骨と肋骨に起こりました。
ストレッチポールで背骨を伸ばし、ストレッチ(回旋運動)で肋軟骨の緊張を緩和させようとしましたが、まったく効果はありませんでした。

とても困って同じくオープンパス身体教育研究所のワーカー、(一般社団法人オープンパスメソッド協会の代表理事も務める)小川隆之氏にセッションをお願いしました。
小川氏はロルフメソッドからそのキャリアをスタートしましたが、今ではLRモデルという浅筋膜の操作モデルを確立して施術を行っています。
筋膜リリースとは全く異なる独自のテクニックを使うので、その技術を知っているわたしでも、時々どんな意図で施術をしているんだろう?と不思議に思います。

主訴:背部と肋骨部の激痛。あまりの痛さに朝方に目が覚め、しばらく眠れなかった。
少し前から肩甲骨より少し下の脊柱に違和感があった。
激しく運動した後で重いものを持ったこと、その後のセッションで脊柱をねじる姿勢が続いたのが原因かと自分になりに予測していた。

主訴を赤の円、施術してもらった箇所を青の円で示します。

施術.jpg

お気づきかと思いますが、主訴とは関わらない場所を施術しているのが一目瞭然です。
関連性が分かりにくいかもしれませんが、すべて「生きるための解剖学」に基づいています。
それは机上の解剖学(暗記の解剖学)ではなく、筋肉がどう動くかの解剖学(機能解剖学)でもありません。
生活と動作に関わる解剖学です。

具体的な施術の様子については、後日、解説しようと思います(覚えている範囲内で)。
結果は、施術後に痛みは7割減、今は少し痛みがあるけれど夜中に起きてしまうような激痛は消え、支障なく日常生活を送れるくらいに改善しました。
もう激しい運動もできそうです。

オープンパスメソッドレジスタードマークにはマニュアルがありません。
クライアントさんの変化に応じて、臨機応変にリリースすべき筋肉を「理論と経験で」分析し、セッション構成を組み立てて進めます。
漫然と、漠然と行わないので、からだよりも頭が疲れます。

12時間で頭部から足先までを触察する「触察ベーシック1」
https://peraichi.com/landing_pages/view/basic1

わずか54時間で90筋を施術やティーチングに必須の90筋を触察する「触察ベーシック2」
http://bodywork.openpathmethod.com/

***斎藤個人セッションのお申込み、新宿オフィスアクセスのご案内****
ご希望のセッションと、ご希望日を第三希望までお知らせください。
申し込みフォーム http://www.rolfingopenpath.com/contact-w79gg
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※日曜日は講座のためセッションはお休み、月曜日は定休日です
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posted by MSaito at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ケーススタディ

2018年05月25日

まさか長母指屈筋だったとは。

こういう手つきで殴ることをしたら、手首を痛めました。

kobushi.jpg

正確には、グーで殴った後で親指付け根当たりに激痛が走り、そのあと親指付け根の痛みはそのまま居座り、さらに手首に違和感が残りました。
手首の痛みはある日急に悪化し、激痛で動かせないくらいにひどくなりました。

その結果、整形外科をはしごしました。
ドケルバン症候群と診断を受けましたが、微妙に違う気がしながら、ステロイド注射を受けたりシップをしたりつつ、手首を動かさないようギプスも併用して日常生活を送っていました。

前回(今週の日曜日)に開催された、第11回の「パルペーションインテンシブセミナー」である筋を触察していて「あ!これだ!これが手首の痛みの原因だ!!!」と、発見してしまいました。
それは、円回内筋と長母指屈筋です。

痛くなったのは手首周辺でしたが、手首の痛みが軽減すると、肘から前腕にかけての痛みが出現しました。
円回内筋の触察をしていると、痛い部位と一致するのです。特に上腕骨滑車部分では、痛た気持ち良いような感覚がありました。
もっと驚いたのは、長母指屈筋の触察でした。
もともと持っていただろう弾力がほとんど感じられないくらいに拘縮が起きており、母指球あたりからその緊張が触れられ、コンパートメントも曖昧にしか追えないような具合でした。
母指から屈筋支帯へ長母指屈筋を触察していくと、ちょうど手首の、痛みが取れなかった場所を通ります。

正中神経が関係しているんじゃないか?とメイン講師の小川氏から助言があったので、調べてみました。
すると、大阪の整形外科のこんな素晴らしいサイトに行き当たりました。
http://kotoseikeigeka.life.coocan.jp/14zenkotukanshinkeimahi.html

正中神経は枝分かれし、前骨間神経となるようなのです。
骨間膜のリリースはいつも気持ちよかったし、手首の痛みは靭帯よりも神経の痛みのようだと感じていました。上腕骨滑車上で正中神経をリリースしたところ、急に前腕に柔らかさが戻りました。つまり、すべてに合点がいくのです。

いやー、この整形外科の医師、凄いですね!
こういう信頼できる病院が近所にあればいいのに。
今回の経験を生かして、拳を固める動作が多いクライアントさんのお役にたてるように、神経についてももっと勉強する必要を感じました。
転んでもタダではお絹、じゃない起きぬ、で頑張ります(座布団一枚、取って!)

「初心者を上級者に変える 筋膜リリース コツのコツ」電子書籍で発売しました。こちらからダウンロードしていただければ幸いです。https://goo.gl/qHRsbd 

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posted by MSaito at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ケーススタディ

2014年11月12日

瘢痕のケア/オープンパスメソッド(R)の可能性

クライアントさんおよびクライアントさんの保護者の方から承諾を得て。

中学生になりテニス部に入った娘さんの相談を受けました。
利き手の右手でラケットを振るとき、ひっかかりがあることに気づいたそうです。
最初は「伸びないなあ」「左手みたいに動かせないなあ」と漠然と思っていたそうです。
それを、クライアントさんであるお母様にお話ししたそうです。

お母様としては、それを聞いて胸が痛くなったそうです。
というのも、娘さんは右脇から肩甲骨にかけて手術の痕があり、それをご自分のせいのように感じていたからなのだそうです。

皮膚を縫う手術では、浅筋膜と深筋膜とを一緒に縫い合わせるため、本来ならくっつかずに滑りあうはずの浅筋膜と深筋膜が固定されてしまうので、血行不良やリンパ液の滞りをおこすのみならず、筋繊維の特徴であるはずの「伸び」もなくなってしまいます。

娘さんにセッションにおいでいただくと、思った通りでした。
縫合した傷は固く閉じていて、その周りの筋膜も巻き込んで動きに制限をおこしていました。
そのため、傷と関連している筋肉も動きが悪くなり、直接関連しない筋肉にも影響を及ぼし、右腕が伸びないのみならず肩こり、首こり、バランスの不均衡をおこしていました。
またお若い方だから柔軟性があったのですが、これが30代くらいになると慢性的な不快感に変わります。

筋膜の癒着や硬縮を取り除き、強い張りを追跡しながら右半身は後頭部からふくらはぎまで、左半身は腰、背中と足の裏の筋膜を整えたところ「なんか楽〜!」になってくださいました。
「お世辞じゃなくて?」と聞いてみると「本当です」と真顔で答えてくださったので、本当のようです。
良かったです!!
瘢痕のケアとしては、あと2回くらいは様子を見ていただければと思いますので、お時間のあるときで結構ですので頑張っておいで下さい。

瘢痕関連の筋膜ケアについては、今回のケース以外にも前例がありますのでクライアントさんの許可を得て随時アップしていきたいと思います。
Fさま、Kちゃん、おいでくださいましてありがとうございます。少しでもお役に立てたとしたら幸いです。

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posted by MSaito at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ケーススタディ
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