2023年04月01日

ボディワークについて、あくまでオープンパスのボディワークについて

オープンパスでは、2019年から月に2回(発刊当初は3回)、毎月1日と15日メルマガを発行し続けています

メルマガのタイトルは【ボディワーク&触察メール講座】で、ボディワークに関連する事柄や、触察のコツなどを中心に、クライアントさんが読んでも面白く、ボディワークに興味がある方にとって有益なメルマガにしようと奮闘しています。

今回のブログはメルマガの紹介の意図で、これまで発行してきたメルマガのコンテンツを紹介したいと思います。
お題は、勘違いされがちな「ボディワーク勘違いあるある」について。
以下、2023年2月15日発行のメルマガをご紹介いたします

【ボディワークは自分に向いている?】
ボディワークセッションを受けたいのだけれど、自分の問題をどう伝えたらいいのか分からないという相談をいただきました。
自分の問題がボディワークセッションで改善するのか知りたいというメールもいただきます。
そもそも、ボディワークとは整体なのかマッサージなのかが良く分からないというご質問もいただきます。
今回のメルマガでは、そうした疑問について、すこし専門的になりますが、考えてみたいと思います(メルマガの文章そのものですが、あえてここは変えずにブログにしました)

ボディワークを名乗る他業種もあるので、混乱がないよう、オープンパスメソッドに関してお話したいと思います。
オープンパスメソッドは解剖学をベースにし、筋膜と脳神経系に働きかけを行う、日本初・日本発のボディワーカー養成機関として23年間の実績があります

【からだにある〇〇系】
さて、まずは生理学についてお話します。

わたしたちのからだは数多くの「器官」が集まってできています。
からだを構成する器官は 「骨格系」、「筋系」、「リンパ系」、「神経系」、「内分泌系」、「外皮系」、「呼吸器系」、「消化器系」、「泌尿器系」、「免疫・リンパ系」、「生殖器系」に分けられます。
このうちでボディワークが扱うのは「筋系」と「神経系」です。
中でも「筋膜」は最重要点で、オープンパスは筋膜に着目したセッションをしています

【柔道整復、カイロプラクティック、リンパマッサージ、エステティックとの違い】
それでは他のテクニックとどう違うのかをお伝えしたいと思います。

ボディワークが取り扱うのは「筋系」「神経系」です。
一部「骨格系」を扱いますが、骨そのものを施術するのではなく、関節と関節をつなぐ「関節包」という部分に働きかけ、間接的に骨格系の施術をしています。

そうした意味でも、骨を専門とする柔道整復師さんやカイロプラクティックとボディワークは異なります

「リンパ系」の施術をするのが、リンパマッサージ。
リンパ液はリンパ管内を一定方向に流れています。そのリンパ液を"流す"のがリンパマッサージの目的です。
対してボディワークがとらえるのは「筋膜」です。
筋膜をとらえるまでの段階でリンパ管に触れますが、リンパ液を流しはしません。
また、筋膜をリリースする方向は一方向ではなく、筋膜の状態に合わせてリリースの方向が決まります。

「外皮系」は皮膚、髪、爪を指しますので、これはヘアサロンやネイルサロンなどのサロンワークになります。
エステサロンもここに分類されます。
オープンパスの「フェイシャルリリース」は表情筋という筋肉(筋系)への働きかけですので、エステサロンとは異なる効果を狙っています。
リフトアップをする際にも、頭蓋骨の形状を考慮し、表情筋と腹部、表情筋と仙骨までの関連を考えた上で表情筋のリリースを行います。

「呼吸器系」、「消化器系」、「泌尿器系」、「免疫・リンパ系」、「生殖器系」
基本的に、こうした器官はボディワークでは扱いません。
筋膜のねじれや拘縮に関連して、こうした器官に不具合が起きている場合は、筋膜の状態を整えることで、二次的に機能が整うことがあります


【からだの4つの機能とボディワーク】
もう少し違う視点で、ボディワークの特徴を見てみましょう。
からだの器官が担う、4つの働きとボディワークについて考えてみます。
1.運動を行なう器官
2.情報を処理する器官

3.物質を交換する器官
4.物質を輸送する器官
このうち、ボディワークが対象とするのは1.運動を行う器官と、2.情報を処理する器官です。

【筋肉の不快感や痛み、からだを動かすときの不快感や痛みに】
運動を行なう器官には、筋系と骨格系が該当します。

筋系ー>骨格と協力してからだを動かす。
自分で動かせる随意筋と、内臓のように自分で動かせない不随意筋がありますが、動きに関わる随意筋はボディワークセッションの対象となります。

骨格系ー>筋肉と協力してからだを動かす。骨、骨膜、靭帯から作られている。
骨格系の「骨膜」「靱帯」はリリースの対象です。

怪我(捻挫などの怪我)、外傷(傷)、手術などが原因でからだが動かしづらくなったり、姿勢が崩れてきた時などは、整形外科でも手の施しようがありません。
こうした症状こそボディワークが得意とするところ
です。

【パフォーマンスアップや動きの変容に】
情報を処理する器官として、感覚器系と神経系が挙げられます。

感覚器系ー>外部からの情報を得る。
神経系(脳神経系)ー>外部から取り入れた情報を処理してからだを動かす。

筋膜が整い、動きやすくなったとしても、動きの司令塔が働かなくては変化が生まれません
筋膜に分布する神経細胞と、からだを動かすときの司令塔(情報処理)を変えるのがボディワークの目的です。

武術、各種パフォーマンスなど、自己観察を行いながら動くような技法のパフォーマンス向上や、力まず動くことで可動域が上がるような技法(楽器の演奏や太極拳、ヨガなど)のブラッシュアップなどに、ボディワークは役立ちます

【これは専門外…でもないかも?】
物質を交換する器官(呼吸器系、消火器系、生殖器系、泌尿器系)に直接働きかけることはありません。
ですが、呼吸がラクになったり、消化器官の動きが活発になったり、排泄がスムーズになるということは、セッションの良結果としてよくご報告をいただいています。
物質を郵送する器官である、循環器系や内分泌系に働きかけることもありません。
心理的な気付きや無意識に働きかける意図でセッションすることもありません。
それにも関わらず、クライアントさん自らが気づいてくださることが多々あり驚かされます。

【こんな悩みに】
長くなりましたが、
〇慢性的な不快感(筋系)、
〇消化器官の不具合(内臓マニピュレーション)、
〇動作(動き)の改善(感覚器+脳神経系)、
〇過緊張(心理的なものでなければ感覚器の働きを高めることで緊張の操作ができます)、
〇パフォーマンスアップ(筋系+脳神経系)、
〇表情筋リリース、
〇姿勢の改善、
〇瘢痕による身体の不具合

などなど、幅広い悩みに対処できるのがオープンパスメソッドです。

ということで、ボディワーカーによって得意分野が違いますし、その他のさまざまな事情で「できること」「できないこと」が違ってきます。
セッションを受けたいと思われたら、ご自分の希望をなるべく細かく説明し、対処してくれそうなワーカーを探すことをおススメします。

よく「どなたかボディワーカーを紹介してください」と言われ、その方が住んでいる地域のボディワーカーを紹介しますが、残念なことに大概「がっかり」されます。
紹介したワーカーのセッションを受けたこともなく、お問い合わせいただいた方から近いからと紹介する私の責任ですが、申し訳ない事に紹介をして感謝された試しがありません。
何事もそうかと思いますが、とりあえずはトライ&エラーで複数のワーカーのセッションを受けてみるのも良いかも知れません。

お近くの方も遠方の方も、ぜひ一度、セッションにお越しください。

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2023年03月22日

リリースというか、2点を触っているだけ

小川隆之氏(baucafe http://baucafe.sblo.jp/)が昨年10月末に脳出血で入院し、大変な努力を毎日くり返して、仕事復帰となりました。
手の感覚などは戻ったようですが、体力がやる気に追い付かず、しばらくは1日1セッションのペースで仕事をすることにしたようです。

左側に少し麻痺が残り、肺の機能も以前同様とはいかないので体力が続かないと相談を受け、できることは何でもトライしみようとボディワークセッションを行うことにしました。

もうひとつの課題は「構音」が上手くいかないこと。
頭の中は高速で働いても、それを言葉にするときに麻痺が邪魔をするというので、感覚を使ったワークをしてみることにしました。
これにはオープンパスのオリジナルメソッド「ソマティカルワーク」で対応してみました。

その時の動画がこちらです。
2点法.jpg
https://youtu.be/8twhuBj0oMQ

これまで、動画にするつもりは一切なかった「2点法」というオリジナルテクニックを初出ししました。
解説もていねいに付けてみました。
オープンパスメソッドレジスタードマークセッションは、常にこうした意図で(筋膜の張力を触察し、関連筋を割り出し、いろいろな手技を使って)セッションを行っています。

痛み(圧痛点)がどんどん消えていく様子や、腹部の緊張が大腿四頭筋のリリースや大胸筋のリリースで改善していく様子から、筋膜の特徴、そして触察の大切さを汲み取っていただけるのではないでしょうか
オープンパスが「触察!」「触察!」とうるさく言う理由もご理解いただけるかなと思います。
理論に基づいたリリースは効果がほんとうに高く、時間もかかりません。

以下、動画の解説です。

1:16 カウンセリングを詳しく行う「どういう違和感?」
1:18 からだ全体の状態を確認した後で、筋膜の状態を主訴に沿って見極め→大胸筋のリリース(と思われる)
1:47 からだの機能に改善が出たかを確認しました(主観的には視覚を使って、そして小川さんには感覚を使ってもらい改善を確認)
2:59 体幹のゆるみがでました。胸郭の緊張と起立筋の緊張が関わっていました。動画では割愛されていますが、中電筋や仙腸関節、下腿の筋筋膜との影響が強く出ていました。
3:02 触察を使って関連筋を割り出しています。腹直筋と大胸筋の関連を理解している施術者さーん!! やってること理解していただけますよね?
3:26 筋膜の硬さ、形状などを触察しています
3:48 起立筋の何筋の緊張が一番強いかを確認し、指が負けそうなので肘を使ってリリースをしています。下(肋骨側)に押しているように見えますが、押してはいません。むしろ引いています。
4:14 さて、どこを狙っているでしょう?
4:58  胸部の緊張は何筋が関わっているのかを触察で割り出しています
5:17 2点法のリリースを行っています
5:23  圧痛部分を探し当てました。圧痛が起きている層を割り出し、層を合わせて関連筋(2か所)を一度にリリースしています
5:27  圧痛が消えました。
5:42 別の圧痛点をみつけました。それも2点法でリリースします。
6:09 腹部の圧痛点は、上前腸骨棘(確か、外腹斜筋)からの引っ張りが原因のようでした
6:28 大腿筋膜張筋から臀部にかけての圧痛点を丁寧にリリースしていきます(圧痛がどんどん消えていきます)
6:37 痛みが消えていきます
7:10 腹部にあった張力(圧痛)は、外側広筋のリリースで消えました

この後、仙腸関節を緩め頭頚部のリリースに移りますが、スタート前に張力が高かった胸鎖乳突筋がゆるんでいました。
胸部、腹部の屈曲がゆるんだことで胸鎖乳突筋の緊張が和らいだのだと思います。

頭頚部で重要な役割を果たしている(仙骨に影響を与える)前頭筋、帽状腱膜をリリースし、胸鎖乳突筋の起始部を耳介を介してリリースし、リリースは終了(7:30)。
あとはソマティカルワークになります。

前半の解説は終了。
ソマティカルワークは説明しようとすると、ソマティカルワーカー養成トレーニングの資料になりそうなので、うまくまとめられるか検討中です。
(わかる人はわかる内容だと思うので解説しないかも)

2点法.jpg

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2022年04月20日

触察&ボディワークメール講座【スマホ首、どう対処する】より

メルマガはメルマガ会員の方に向けて発信していますが、時々はこちらのブログでも取り上げてみようと思います。

スマホは生活必需品となり、かなりご高齢と思われる方々でも、その動作はゆっくりゆっくりですが、利用されているのを見かけます。
年齢問わず、スマホを使わずに生活している人のほうが稀有です。

スマホ利用が原因と思われる首こり、肩こり等の慢性不快感についてのご相談を受けることも多々あり、ワーカー観点から効果的なリリースについて考えてみました。

触察&ボディワークメール講座
【スマホ首、どう対処する?】ー何筋をねらって緩めますか?ー


【頭は体重の10%の重さ】
ヒトの頭の重さは、成人でその体重の10%程度だそうです。
50キロなら5キロ、80キロなら8キロ程度でしょう。

視線を落とすなどして頭部の位置が移動すると、頭を支えている頸部や肩部、背部に負担がかかります。
重さで換算すると、

0度で4〜6キロ
15度で12キロ
30度で18キロ
45度で22キロ
60度で27キロ

なのだそうです。

まっすぐ前を見ている状態でも4〜6キロ
少し視線を下げると12キロ
顎を引いだ状態で18キロ
スマホや本を読んでいる状態で22キロ
電車の座席やベンチに深く腰を下ろしてスマホを見ると27キロの負担がかかる、
そんな様子を想像しました。

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【スマホの姿勢を何と呼ぶ?】
手元のスマホの画面を集中してみている時、特に背中を丸めてみている時は、
◎顎が突き出て
◎首の後ろが縮み
◎肩甲骨が内側に寄っています。

この姿勢を「頭部前方位」と呼びます。

解剖学的な表現に変換すると、頭頚部の伸展、肩甲骨の挙上、肩甲骨の内転が同時に起こっている状態です。

【肩こりは僧帽筋がダメな理由】
セミナーの最中によくいただく質問に「肩こりというから僧帽筋を施術したけれど効かない」があります。

もしかしたら、別の筋肉を狙ったほうが良いかもしれません。

でも、僧帽筋の働きは「頭頚部の伸展」そして「肩甲骨の挙上」「肩甲骨の内転」だから、間違っていないんじゃないのか…そう反論されそうですが、

頭部前方位のケースでは、体幹は前に倒れ、なおかつ頭頚部は60度前方に移動していることを忘れてはいけません。

【人はまっすぐ姿勢で生活しない】
体がまっすぐな状態で肩をすくめる筋肉と体を前に倒した状態で肩をすくめる筋肉は同じでしょうか。
もちろん「肩甲骨の挙上」の働きは、肢位に関わるものではありませんが、働きの優位さには違いが出ます。

体がまっすぐな状態で働くのは肩部、倒れた状態では、むしろ肩甲骨側の筋肉が強く働くことに気づいていただけると思います。

解剖学をご存じの肩ならば、地面に対して0度であれば僧帽筋の下行部が優先的に働き、体幹を60度ほど前方に屈曲した状態で働くのは僧帽筋の上行部そして菱形筋であることが体感できるだろうと思います。

【後頭下筋群はインナーマッスルだから大切のウソ】
残念なことに、未だインナーマッスルが重要であるという根強い考えがあります。
浅い位置にある筋肉より深い位置にある筋肉の方が複雑な動きを担うので重要である、という信じ込みです。

存在する筋肉は全て、それぞれに絶妙なハーモニーで配置されており、それが活動する環境と働きにおいて、その働きの優位性(重要さ)が変わります。
先ほどの頭部前方位のケースを思い出してください。
もしくはジョギングと水泳という環境の違い(浮力や重力との関り、頭部の移動方向)を想像していただいても良いかと思います。

頭部と頸部をつなぐように存在する4つの小さな筋肉(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)は後頭下筋群と呼ばれ、首や肩の不快感に関連する筋肉群です。

original (1).jpg

この後頭か筋群が重要だと言われているのは、首の深層にあるからでしょうか?

そうではありません。
この筋肉群は、眼球運動がおこる度に収縮し、頭部の位置を微妙に調整しています。
目を開いている間は眼球運動と共に、四六時中活躍している筋肉群です。
眼球運動を行うのが眼筋であるとして、頭視野の動きに応じて目視できないほどの細かい動きを調整するのが後頭下筋群です。
深層にあるから重要なのでは決してありません。

人間も筋肉も、ポジションや外見ではなく、どんな役割で活躍できているかを見てほしいだろうな、と筋肉を擬人化して考えてしまいました。

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