
拙著『これがボディワークだ』の資料として、ロルファーに配布される機関誌『Structual Integration』からいくつかの記事や論文を抜粋して翻訳しました。
以下の文章が機関誌の翻訳であることは確かだと思うのですが、出典がわかりません。
Guild for Structual Integration(米国にあるストラクチュアル・インテグレーションの教育機関)の創始者のひとりであり、ロルフィングを創始したアイダ・ロルフから直接教えを受けたロルファーでもある、Peter Melchiorが語った言葉です。
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この何十年か、アイダ・ロルフが「レシピ」と呼んだ手順に重きが置かれてきた。
レシピという用語は、アイダロルフが生徒たちに受け渡そうとした、ロルフィングの基本的10セッションのアプローチ法を示している。
しかし、私が見聞きした限りでは、レシピは「こうあるべき、またはこうするべき」という狭い考えに基づいて考えられているようだ。
だが、私のレシピに対する考え方はもっとシンプルなものだ:ドクターロルフの疑問と同様に、彼女の洞察を、後進のものが安心・安全に結果を出せるように形付けたものだろうと思っている。
そして(長い目で見るともっと重要なことに)さらなる疑問が導かれるように。
「レシピ」という用語はテクノロジー重視のプラクティショナーにとっては、しっくりくる選択ではなかったかもしれない。
しかし、私は、ドクターロルフはこの言葉を慎重に、考え深く選んだのだと思っている。
彼女はストラクチュアル・インテグレーションをヒーリングのメソッドとして始めたのでも、発展させたのでもない。
しかし彼女は、何時の日か科学的証明によってロルフィングの優位性が周知のものになると考えていた。
彼女が使った比喩「コックと料理長、レシピと味見」は、彼女が発見したストラクチュアルインテグレーション独自の質を伝えるためのものだった。
そして彼女のワークは正に「アート」になり得る水準を持つ「クラフト」だと証明するものだ。
またそれは、メカニカルな科学ではないことを同時に表している。
アイダロルフが残した財産としてのレシピのもうひとつの側面は、たぶん、レシピほどには深く理解されてはいないだろう。
彼女のワークの入れ物(受け皿)として形成されたレシピは、それ自体が何か情報を持っているように見えるだろう。
そしてそれは、時間がたち、ある程度の困難を越えると、プラクティショナーが十分な経験をつめば、勤勉な観察者にはその姿を現してくる。
レシピは、厳密で、守らねばならない手順として残されたものではない。
また、プラクティショナーのセッションに制限を与えるものでもないということを忘れないで欲しい。
それは、重力の中で、人間の構造を再構成していくための方法として、時間をかけて形と成ったものだ。
もしも、多くの人々が‘高いレベルの物質として引き上げられたら’どんなコミュニティができるのかを発見したいという衝動に駆られ、ドクターロルフはストラクチュアル・インテグレーションを職業とした。
頻繁にされる質問がある。ドクターロルフがこの世を去ったとき、ストラクチュアル・インテグレーションは完成されていたのかという質問だ。
答えは、その質問の中にあるといえるだろう。
もしも、アイダロルフのワークが完成されたものだったのならば、こういった質問に関する討論は行われていなかったはずだ。また、こうした質問に関するアイダ・ロルフの答えに言及するのであれば、「NO!」という答えが響いてきそうである。
1976年のアドバンスクラスの期間中に、アイダロルフは集められた関係者に向かって、彼女が作り上げてきた「地図」を贈呈しようとしていることを告げた。
関係者は、彼女のワークが料金に値するもので、ベーシック10シリーズよりも高度なワークが必要とされるべきなのかを確認する試みのために集められたのだった。
それまで彼女は、一度も自分の不確実さについて不満を言ったことはなかったし、彼女の生徒たちに完璧さを求めたりもしなかった。
彼女が切望したのは、生徒のうちの誰かが、自分が残していくものを、生涯をかけて、ストラクチュアル・インテグレーションのワークを以って、引き継いでくれることであっただろう。
これには試練が付きまとうことは明白だった。
そうでなければ、他の流派からの魅力と破滅とが合わさった誘いや、「ボディワーク」という意味が曖昧になってくることや、これから来るであろう代替医療(補完医療)の時代などが、ストラクチュアル・インテグレーションの行き場を奪ってしまうからだ。
結局は、それが意図されたものだったのか、結果としてなのか、我々はもう一度、この「クラフト」をマスターしようと決意した。
出来うる最良のこととして、クライアントが持つ自立的に元に戻ろうとする原理(セルフオーガナイジングプリンシパル)に従うことだった。
プラクティショナーがクライアントの身体という空間から発せられる情報に耳を傾けることができれば、結果は善きものとなる。自らのセオリーや想像は、邪魔にしかならず、想像力を阻むことすらある。
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執筆中に、出典を書き込んだUSBを割ってしまいました。
幸い 下書き用に使っていたUSBは無事でしたが、こちらは翻訳の文章しか残っていません。出典がわからないままになっている文章(翻訳済みのもの)が未だいくつかあります。
せっかく訳した文章なのでアップしてみました。