2012年04月02日

身体に関する考察1

 …それでは私たちの身体表現の源となる身体は、歴史の中でどのように捉えられてきたのだろうか。

現代社会では、身体と健康とが平行線上で語られることが非常に多い。
疲労回復、アンチエイジング、デトックス、シェイプアップと、現代の身体は飽食や添加物、農薬といった汚物に侵され、忙しい日常生活に疲労を強いられ、肉体の持ち主の手を焼かせる厄介な代物であるかのようにメディアによって表現されることが多い。

身体は時代と共に、そして必要に応じてその役割と体型の評価を変えてきた。
かつて身体の意味合いと価値は、思想や宗教に統治され、近代に近づくにしたがって社会革命や文化革命よって形成されてきた。

古代において人間ないし人間が持つ肉体という目に見える要素に強い興味を示したのはギリシャ文化である。別名古代ヒューマニズム文化と呼ばれる。
その命名からも想像できるように、この時代の関心は人間的なものに向けられていた。
古代ギリシャのオリンピックは、裸で行われた。男性の裸体は観賞に値すると捉えられていたからだ。
人間の姿をした神々、人間との融合で生まれた神々は、厚い信仰の対象だった。
ギリシャの神々は美を愛し、草花を愛で、美食と恋愛を日常の糧とした。
この時代に後世に残る作品を創りあげた彫刻家フィディアスは、裸体を大理石に刻みつけることでその美を賞賛した。
北アフリカのキレネ学派は、ソクラテスの「よく生きること」を受け、快楽的に生きることを善しとし、「肉体の快楽は精神の快楽よりもはるかに優れている」,快楽主義的な実践哲学を唱えた。

前田英樹は『剣の精神』(P.13)で、スポーツの動作体系がギリシャ・ローマの美術上の裸体表現に源泉を持っていることを指摘し、この時代独特の美的感覚と古代スポーツによって作られた肉体との相関を説いている。
現代における肉体美は多様化したものの、彫刻を思い起こさせる肉体を参照する文化は続いている。
ボディビルディングがその最たるものだろう。
体脂肪率をぎりぎりまでに絞り、筋肉の形状がひとつひとつはっきりと主張するまでに肉体を極度まで鍛え上げる競技である。
大会では審美的造型に基づいての評価が行われる。
審美的造形には決まりがあり、胸回りが何センチあるかと言った尺度ではなく、全体的な形の美しさで審判が評価の対象となる。
作家の三島由紀夫がボディビルディングに力を注いでいたことは有名である。
過酷なトレーニングを経て精神を追い詰めることと、その成果としての肉体美を称賛することは表裏一体である。
反復運動により作り上げられる身体、スポーツ的身体はその裏側に精神的な満足感や達成感が隠されているようである。
しかしながら、鍛え上げられた身体は緩やかな動きを許さず、ゆったりとした優雅な動作には不向きである。
不向きというよりは、こぶのように盛り上がった四肢は、そのように動かすことが物質的に無理なのである。
そこに巧みさを見出すことはできない。

                       『身体表現者のための身体内感援用法』より


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2012年03月28日

触察の役割(インストラクターとして)

先日終了した「パルペーションプレクラス」でいただいたコメントです。

ピラティスインストラクターのアドバンストレーニング中に、解剖学を全く知らない方に動きを誘導するという課題があったそうです。
その際に、筋肉の起始と停止に触れて「今動かしてほしい筋肉はここからここまでついています」と伝えるだけで、動きが全く違うという経験があったそうです。
クライアントさんが三次元でからだをイメージする助けとして、私たち(ピラティスインストラクター)が筋肉に触ってあげられることは大切だ、という体験を話してくださいました。

触察の利用法はいろいろありますが、立体的なからだの理解に役立つということを改めて理解しました。
ありがとうございました。

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2012年03月22日

「感覚に帰る」こととボディワーク

エサレン研究所のセミナーでは、常に体験を通して学ぶことが求められました。
初期のころには、「古典時代」と後から呼ばれた時期(1960年代初期)があり、高尚な思索や知的な討論が行われていましたが、そうした時期は長くは続きませんでした。

セミナーの参加者たちは、「考えることを止め、感覚に帰りなさい」と励まされました。
グループ・ワークやセミナーの場では、「知性主義」を脱するための方法が数多く提供されました。
しかし、この「感覚に帰る」という言葉の意味には、かなりの「幅」がありました。

エンカウンター・グループやゲシュタルト療法のように「感覚的な気づきとその表現」を求める方法もあれば、センサリー・アウェアネスのように「感覚・知覚的な気づき」を重視する方法もありました。
それらが「感覚に帰る」という標語のもとに行われ、気づきの内容に対する明確な区別は必要とされていませんでした。
つねに、「体験」が大切なのでした。

ところで、センセラー・アウェアネスの「感覚・知覚的気づき」こそ、後述する「身体教育」に必要なものです。
ですからセンサリー・アウェアネスは、のちに「ボディワーク」に分類されることになります。


『これがボディワークだ 進化するロルフィング』P36 日本評論社

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『ボディワーク入門』カルチャー講座
第1、第3金曜日/読売カルチャーセンター恵比寿
第2、第4月曜日/読売カルチャーセンター横浜
お問い合わせは各カルチャーセンターで承っております。ご参加お待ちしております。
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