2014年06月08日

似て異なる/学び/中空

似て異なることは山ほどあるのに、異なるところを理解しようとする人は少ないように思います。
確かに、新しい事は既存の事をベースとして生まれますが、全く同じものは生まれないはずです。

全く新しいものが生まれる時、それはそれで慎重に対処するべきかもしれません。
というのは、そうした「従来にないもの」はいわゆる「啓示的」にある一人のひと(または志を同じくするグループに)突然に脈絡なく舞い降りるものだからです。
それはどこからもたらされたものなのか。
多くの場合、それは目に見えない存在からもたらされたものとして世に広められます。

新しいものを提供する側は、その新しさを周囲に知らしめる方法と技量を合わせ持つ必要があります。
単に目先を変えたり、技術提供の方法を変えたりする程度では「新しさ」にはなりえません。
それがどういうレベル(層、深さ、細部、段階)で従来のものと違うのか。
その違いが技術をどう変化させているのか。
技術による結果は、実質上、どれほどの恩恵をもたらすのか。
こうしたことを総合的に体現的に示すことができて初めて、新たなメソッドとして提供できるのだと思います。

一生を通じて自分は学ぶ立場であると感じているのですが、数年前に再び学生として学びの場に戻った時に「理解が浅いほど表面的な理解を求める」傾向が強まることに気づきました。
自分にとって理解しやすいキーワードに飛びつき、とにかくそのキーワードに関連することでなおかつ自分の理解が及ぶことを、次から次へと求めました。
時間がたっぷりとあった学生時代であれば、試行錯誤しつつ学ぶことが本業の学生に適した学習法であったのだろうと思いますが、社会人学生であった私にとっては好ましくない学習法でした。

まがいなりにも伝える立場に立つことがある今、すでに見知ったことに執着してしまう大人、あちらへこちらへと興味や嗜好が移り変わる大人と接するたびに「違いを理解すること」と「掘り下げること」への大切さをどうやって伝えたらいいのかと悩みます。

掘り下げていけば自然と枝葉が生まれてくること、自らを空洞にすること、そう考えていて、なるほど何事も中空が良いのかもと宗教的な考え方にたどり着いてしまいました。
偉そうなことは一切言えず、私自身が右に左にと大きく揺れている状態であることに間違いはありません。
オチの無いブログとなってしまいましたが、これはこれで良しとしてアップします。


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7月13日(日曜日)パルペーション公開セッションを行います。
詳細はこちらでご確認ください。
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2013年10月11日

視覚と不快感

利き眼が右で、左目でみようとしても焦点が合わず、薄ぼんやりとしていました。

視界が狭くなるように感じるし、重いようにも感じるのでかけるのが面倒でほったらかしにしていたメガネをかけてみました。
左目も利き眼に追いつくかのように働き始めました。
左目の機能が上がるに従って、老眼的な症状が現れてきました。

生きているものは全て年をとっていくものなので老眼は気になりませんでしたが、それよりも利き眼を働かせることと、頚椎症、顎関節症が緩和していくことに驚きました。

人体実験的に研究を進めたいと思います。

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posted by MSaito at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク

2013年02月10日

ワーキングメモリ、ボディワーク、トラウマ

本日のオープンパスメソッド(R)ソマティカルワーカー養成トレーニングは、3時間にわたりメイン講師の小川が運動学習についての講義を行いました。

ソマティクスは単なる反復運動ではありません。反復運動(エクササイズ的動作)を繰り返したところで、それは中枢に変化をもたらしません。
筋膜(抹消)と対になる中枢(脳神経系)を有効に働かせ、機能改善をもたらすためのオープンパスメソッドの理論的背景(及び技法体系)はワーキングメモリと深く関わります。
そのため、本日第四回目の講義では記憶貯蔵庫→短期記憶→長期記憶のつながり、選択的な感覚留意や短期記憶の強化、そしてソマティクスの演習に利用できるワーキングメモリの活用法について詳細にわたって説明をしました。

一般にいう「トラウマ」は、エピソード記憶が長期記憶として蓄積されています。
長期記憶になるまでの過程で、間違った認識(認知)が反復、強化され恐怖が立ち上がってしまうことが問題となりますが、生憎ながらこのトラウマウと身体構造や身体機能との相関関係は明確になっておらず、むしろ疑問視されています。
一部のボディワーカーが「恐怖の記憶は筋膜に宿る」と提唱していますが、これには学術的な裏付けがありません。

また、感覚記憶から短期記憶へ移行するための助けになる各種モダリティは、身体ともトラウマとも独立して存在し、なおかつ変化のためのツールとなっています。
「トラウマと筋膜」「トラウマと重力」が、ある団体内では「約束事」となっていますが、この約束事が通用しない対照群に対して「トラウマワーク」を行った場合に、果たして望むような結果が出るでしょうか?
お約束ごとを知っているからこそクライアントの深層心理がそれを引き受け、見合った結果を見せてくれる可能性は大いにあります(しかしながら、これはボディワークに限らずドグマを教え込む、どの団体にも見受けられる暗黙の了解です)。

トラウマを解消しようと身体を押したり引張ったりする療法よりも、認知療法(考え方のフレーム=枠を変える心理療法)が効果的なことは、これまでの臨床研究で有意差が現れていることからも伺えます。
ボディワーカーならば、トラウマにとらわれずにワーキングメモリの作業台に載せられる各種要素を活用して「身体的、認識的に」変化を起こすことを試みるべきです。
有効性が疑問視されるトラウマの処理は、ワーキングメモリとは関わりを持ちません。

できることはできるけれど、できないことはできないと、常日頃から自分の許容範囲を認識しておきたいものです。


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posted by MSaito at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク
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