2013年02月10日

ワーキングメモリ、ボディワーク、トラウマ

本日のオープンパスメソッド(R)ソマティカルワーカー養成トレーニングは、3時間にわたりメイン講師の小川が運動学習についての講義を行いました。

ソマティクスは単なる反復運動ではありません。反復運動(エクササイズ的動作)を繰り返したところで、それは中枢に変化をもたらしません。
筋膜(抹消)と対になる中枢(脳神経系)を有効に働かせ、機能改善をもたらすためのオープンパスメソッドの理論的背景(及び技法体系)はワーキングメモリと深く関わります。
そのため、本日第四回目の講義では記憶貯蔵庫→短期記憶→長期記憶のつながり、選択的な感覚留意や短期記憶の強化、そしてソマティクスの演習に利用できるワーキングメモリの活用法について詳細にわたって説明をしました。

一般にいう「トラウマ」は、エピソード記憶が長期記憶として蓄積されています。
長期記憶になるまでの過程で、間違った認識(認知)が反復、強化され恐怖が立ち上がってしまうことが問題となりますが、生憎ながらこのトラウマウと身体構造や身体機能との相関関係は明確になっておらず、むしろ疑問視されています。
一部のボディワーカーが「恐怖の記憶は筋膜に宿る」と提唱していますが、これには学術的な裏付けがありません。

また、感覚記憶から短期記憶へ移行するための助けになる各種モダリティは、身体ともトラウマとも独立して存在し、なおかつ変化のためのツールとなっています。
「トラウマと筋膜」「トラウマと重力」が、ある団体内では「約束事」となっていますが、この約束事が通用しない対照群に対して「トラウマワーク」を行った場合に、果たして望むような結果が出るでしょうか?
お約束ごとを知っているからこそクライアントの深層心理がそれを引き受け、見合った結果を見せてくれる可能性は大いにあります(しかしながら、これはボディワークに限らずドグマを教え込む、どの団体にも見受けられる暗黙の了解です)。

トラウマを解消しようと身体を押したり引張ったりする療法よりも、認知療法(考え方のフレーム=枠を変える心理療法)が効果的なことは、これまでの臨床研究で有意差が現れていることからも伺えます。
ボディワーカーならば、トラウマにとらわれずにワーキングメモリの作業台に載せられる各種要素を活用して「身体的、認識的に」変化を起こすことを試みるべきです。
有効性が疑問視されるトラウマの処理は、ワーキングメモリとは関わりを持ちません。

できることはできるけれど、できないことはできないと、常日頃から自分の許容範囲を認識しておきたいものです。


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posted by MSaito at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク

2013年01月15日

拡がりゆく現象学

現象学について探索していたら、思想家の村上靖彦氏のサイトにたどり着きました。
先日のオープンパスメソッド(R)ソマティカルワーカー養成トレーニングでお話したかった内容が、専門家によってより精密な表現で書き表されていました。

現象学 便所の落書き http://kusaiinu.exblog.jp/7939299

サイトでは西村ユミ、九鬼周造、山折哲雄他、身体を取り巻く各氏(看護学、文化、宗教、文学などさまざまなジャンルの作家や署名人の著書が取り上げられています)の著書に関するレビューがあり、じっくりと時間をかけて読んでみたいと思いました。
最近は再び「学びたい」という気持ちがふつふつと湧いてきています。

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2013年2月にオープンパスメソッド(R)パルペーショントレーニングがスタートします。
詳細および資料請求はこちらをご参照ください。
まだ若干名の空きがありますので、参加ご希望の方はお早めにご連絡ください。締切は1月20日となります。
posted by MSaito at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク

2012年11月12日

内側とはどこなのか

 When one looks at another human being, one sees a "body" with a certain external shape and size. It's just the same as an observed statue or wax dummy that also has a "bodily" shape and size. But when human being looks at himself or herself from the inside, he or she is aware of feelings and movements and intensions-quite different, fuller being. To view a body from the outside is a third-person view: One sees a "he" or "she” or an "it". But when the human views himself or herself from the inside, it is a first-person view-a privileged view of "me" which means being aware of "I, myself". -Thomas Hanna-


"views himself or herself from the inside"の一文を直訳すると、「自分自身を内側から観察すると」となるでしょう。
しかしこれは感覚的な表現であり、厳密な説明を求める方にとっては、文章が伝えようとしている内容そのものよりも「内側とはどこか」が気になって仕方がなくなるようです。

それであればこの「内側から」を意訳して「自己観察的な方法で」とか「一人称的な観察で」とか、コンテキストを汲み取って「体性感覚で」と訳すほうが伝わりやすいかもしれません。

ニュアンスはわかるけれど内容が曖昧な文章は、書き手が言わんとする雰囲気を残しつつ、なるべく曖昧さを取り去った表現で書き表す方がいいのかもしれません。
さりとて「内側から観察」と訳しても間違いではありません。
難しいところです。


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来年度(2013年度)のオープンパス認定ボディワーカー養成トレーニングのスケジュールが決まりました。詳細および資料請求はこちらをご参照ください。
posted by MSaito at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク
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