2012年07月12日

可塑性と学習

神経システムには自己組織化する能力があり、これを「可塑性(neural plasticity)」と言うが、身体表現者やアスリートが思うような動きを手に入れるためには、慣れない動きを通じて新たな動きを「学習」することによりニューラルネットワークを形成しなくてはならないのである。
神経システムには生得的なものと学習によるものがあるが、巧緻運動(巧緻運動の説明)は学習により形成されるため、ニューロンのシナプスの可塑性を高め、情報が通りやすい状態を作り上げるのである。
運動身体学的見地から言葉の誘導の意図を探るのならば、言葉の働きかけを援用して身体意識に働きかけを行っているからである。

クライアントの身体図式の変化に大きく貢献するのは体性感覚受容器の中でも固有覚として分類される、筋や腱に存在する受容器である。
とりわけ筋紡錘への刺激(触れる、触れないに関わらず運動を起こさせることによる刺激)が局所的であっても、運動により生起された変化は身体全体に影響を及ぼす。
右手に重いと感じる程度のかばんを持っていることを想定してほしい。
まずは、右手が地面に向かって惹かれるように感じるだろう。
筋紡錘が一番感じやすいのは伸長(伸び)である。
そして、重さに伴って(筋紡錘への刺激)全体のバランスを取るように身体全体が左への重心移動をし、身体の中心を保つことからも、刺激の影響の大きさがうかがえるだろう。
もちろん、視覚や前庭感覚(脳内のバランスを司る器官)も変化に関与しているが、いずれも後述する身体図式の変化と密接に関わっている。


身体表現者のための身体内感援用法』より


理学療法士のクライアントさんとの会話で可塑性についての話題が出たことから、再び脳の働きについて考えさせられました。
継続的に勉強していく必要を痛感しました。

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posted by MSaito at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ボディワーク
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