2012年05月10日

ダンス上達のためのボディワーク

セッションに関連するけれど、なかなか答えづらいご質問をいただくことがあります。
習い事をしていらっしゃる方からいただくことが多いご質問です。
ご自身が所属している団体やグループの教え方に疑問を感じる、というご質問です。

多い順から挙げると
(1)教師側の要求が高い。
自分では限界を感じているけれど、努力すればできるはずだという言葉を信じて頑張っているケースがとても多いです。
(2)教師の言うとおりにすると身体が痛くなる
ワーカー側が心配するのはこのケース。ダンサーは通常しないような動作や姿勢を繰り返すので、気づかないうちに深刻な悩みになるケースもあります。
息を止めるようにして踊っていたら横隔膜のあたりにいつも痛みを感じるようになった、頭痛が起きるようになったなど、上半身に制限ができ、股関節が痛くなったなど健康を害するケースもあります。
(3)教師側の言うことが理解できない
西洋で生まれ、酒場など気楽な場で発展していったダンスを教えるのに東洋の考え方を用いるのが理解できない、教える内容に疑問を感じるという不満を抱える生徒さんもいらっしゃいます。
踊りには文化が反映されているのですから、教師独自の考えが入ると疑問を感じる方が出るのは当然かと思います。
また、インナーマッスルと盛んに言うけれどどの筋かの説明もないし、どう動いたらいいのかわからないというご質問もよくいただきます。
雑誌に掲載される知識も専門的になり、女性誌などに筋肉名と働きが詳しく掲載されることも増えてきました。教える側も正確な知識が必要になっているようです。

そのうちボディワークが解決できるのは(1)(2)そして(3)の一部です。
(1)(2)のケースでは、生徒さんの限界の原因が分析できれば、どの程度の努力が必要なのかをアドバイスすることができます。
生徒さん(クライアントさん)の感覚と姿勢分析や動作分析を組み合わせて、安全に踊るための対策を考えていけるのです。
(3)のケースでは、教師側が感覚的な教え方をするときには、それを理解可能な言語に翻訳する必要があります。そのとき共通言語となるのが解剖学用語です。
「へそ下三寸あたりにある」という説明がわからなくても、「腹横筋という筋肉を使うとこういう感覚が起き、その時姿勢はこう変わり、したがって踊りに必要なこんな動作が容易になります」と伝えてあげれば(用語は難しく感じるかもしれませんが)必要な姿勢や動きを必要なときに反復できるようになります。
筋肉のだいたいの位置とそこが動いたときの感覚を知っておくと、無理なく安全に動けるようになります。
頭で考えた動きになるのでは、という心配はいりません。動きがぎこちない原因は思考ではなく「慣れ」にある場合がほとんどです。

ワーカーとして悩むのは、どうしても同意できないことを(つまりは、完全にからだを痛めるような方向で)教師側が強制している場合にそれを生徒さんに伝えるかどうかです。
根性論を押し付けられて生徒さんが困惑しているのを目の当りにすると、「他の教室に行ってもいいかもしれませんね」という言葉が喉まで出かかりますが、何も言いません。
最終判断は生徒さんにお任せします。

ダンスを習っている方がたとのセッションで受けたご質問でした。


dance.jpgillust by:muko
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