2017年11月13日

着付が病みつきになる理由(絞め感覚)

着物好きを公言して止みません。
しかも、着付け師のバイトをしたい等々言いだし、周りに呆れられています。

着付とソマティクスはとても似ています。
着物はソマティカルな体験、経験です。
つまりは、<言葉で説明するのが難しい>、<感覚に頼る><手続き記憶>の連続です。
オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)でなら、経験に近い感覚を表すことができるかもしれません。

着物はもともと、絹、木綿、ウールや麻など自然の素材から作られたものでしたが、今は化繊など安くて手軽に手に入るものも多く出回っています。
洗濯しやすいので便利なのですが、絹や綿とは肌触りが違います。
肌着が化繊だとこの時点でつるつると滑りやすく、上に襦袢や着物を着るのにしっくりときません。自然の素材の方が保温力も高いので、下着をつける時点で肌感覚が高まります。

肌着の上に襦袢を着ますが、この時に「衣紋を抜く」と言って、首の後ろをこぶし一つ分空けます。
鏡を見ながら着付けていても、この「こぶし一つ分」も、襦袢の引っ張り具合によって大体の様子が分かります。
自分の中で「ん」という感覚があるところまで、襦袢の襟を腰の方向にひっぱるとだいたい「こぶし一個分」です。

襦袢や着物を留めるために占める腰紐も、ここまで引けば苦しくなく緩まなない感覚というのがあって、それ以上でもそれ以下でも具合がよろしくないのです。
しゅるーっと軽やかな音で体に巻けるときは紐がまっすぐで体に添えている状態。
紐がねじれているとその音がしません。
相手に着せてあげるときも「ぐーん」とか「きゅー、きゅー」「ぱんぱんぱん」とか、心の中で絞め加減を音にして着つけていきます。

一番感覚を研ぎ澄ますのは、背中で帯を締めるとき。
胴体に帯を巻く作業をしながら、帯がずれないように気を配るのですが、締めたときの感覚で二重になっている下の帯と上の帯がしっかり合わさっているのかずれているのかが分かります。
ずれていると、締めたときの「擦れ合い」というのか、抵抗感が違うのです。
背中に置く帯の位置で、若々しさや落着きを演出しますが、置き場所もまた勘で、肘の曲げ加減などいくつかの条件を併せて決めます。

こんな感じで肌襦袢から帯結びを終えて、帯揚げ帯締めできちっと全体を整えるまで、ずっとソマティカルな体験が続いていくわけです。
仕事の勘が、着付けの勘に結びつき、しかもTシャツ(仕事着)の時とは違う自分が生まれる。
これが着付けの醍醐味といっても過言ではありません。

こうして書いていて再び実感しました。私はある種のワーカホリックなのかもしれません。

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posted by MSaito at 11:29| Comment(2) | TrackBack(0) | お仕事全般
この記事へのコメント
<言葉で説明するのが難しい>
<感覚に頼る>
<手続き記憶>
本当にそういう感じですね〜。

着付けはいつか教えて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い致します!_(._.)_
Posted by Carolfing at 2017年11月14日 12:02
Carolfingさん、

ブログの更新をさぼっていたので、コメントをいただいていたのに気が付かず申し訳ありません!
コメントありがとうございます。

着物の着付は楽しいですよ〜!!
機会が来たら、そのときは浴衣のきつけから始めましょう(#^.^#)
一日でおぼえられますよ(#^.^#)
Posted by 瑞穂 at 2017年11月24日 20:47
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