セッションは流動的な性質を持ち、相互作用によって立ち上がるものですが、そのセッションを「クライアントの持つニーズをかなえる手段」と考えたうえでバイステックの理論を応用しています。
バイステックの7原則は、アメリカのケースワーカーであるフェリックス・P・バイステックにより定義された概念で、現在においては最も基本的なケースワークにおけるワーカーの在り方として知られてきました。現在ではこの7原則は「行動原則」としてではなく「理念」として、あるいは「道徳的概念」になり、ケースワーカーの倫理観として定着してきつつあります。
ボディワークを社会福祉論、社会科学論としてとらえたときには、クライアントさんの主訴は「クライアントのニーズ」としてとらえられます。そのニーズ(例えば体調を整える、痛みが気になる、不調の原因がわからないけれど楽になりたい、もっと上手に動きたいなど)は多岐にわたり、同じ主訴であってもクライアントさんによりその原因と思われるものや最終ゴールは違い、ゴールに至るまでに扱う身体構造や身体機能の違い、考え方や感覚分布の相違、クライアントさんが置かれている環境(社会資源)などは個別に取り扱われるべきです。
クライアントさんの中には、自分の状態を知ってもらうために今まで経験してきたセラピーや治療等の情報について「A医院の診断はこう、B整体の診断はこう」と知りうる限りの情報をたくさん提示してくださることがあります。メタ理論が違えばセッションに至るまでの分析やセッション方法なども異なるので、残念ながら情報として扱えない内容も多々含まれていますが、それは情報としてきちんと受け止めなくてはいけません。
セッション前のインテークやセッションの最中のフィードバックなどは、細やかにクライアントさんの体感を聴くことを怠らないようにしています。
クライアントさんが語ることのすべてを理解できるとは思っていませんが、セッションに関わること、関わらないこと、とりあえずクライアントさんの語ることには耳を傾け、クライアントさんの語らないこと、例えば動作/アクション/感情として提示されることを善悪の判断無しで受け入れたいと思います。
一番難しいのは、クライアントさんとの距離を保つこと。
特に時間については、終了時間が15分、20分を超えて長居することが当たり前のケースを出してしまっているので「専門家としてクライアントさんに会っている」ことを忘れず、第三者的に自分の言動を精査しつつセッションを行うことをしていかないと、最終的には自分で自分を消耗させ、クライアントさんに対して負の感情を追ってしまう危険性があることを自覚していなくてはいけないと思います。
セッション時間も含めたこちらの事情を率直にお伝えしても、理解よりも憤りが先立ってしまうという事もありますが、その場合はクライアントさんにとって「超過の時間は何を表すのか」を冷静に考え、クライアントさんの語らない欲求に思いを巡らせます。
以前から何度も「ボディワークは肉体労働の側面を持ちつつも頭脳労働であり感情労働である」とお伝えしてきましたが、自分自身が道を見失わないようにするには、何等かの道筋が助けになります。
ボディワークを実践と理論で構成することにより、ボディワークというテクニックが確かなもので、なおその背景や理論が受け渡し可能な学問として扱われることを切に願います。

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オープンパス パルペーションインテンシブセミナー次回は<6月5日(日曜日)です>
時間枠:午前の部10:00−13:00/午後の部14:00−17:00 各3時間
会場:オープンパス・オフィス(東京都新宿区西新宿4−32−4)
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斎藤瑞穂の個人セッションのサイトhttp://www.rolfingopenpath.com/
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ちゃんと読んで理解して来られた
クライアントさんに対して
今まではさらに説明をしていました。
最近は、話よりも施術の時間を
できるだけ多くするようにしています。
型に嵌めないようにしていたつもりが
クライアントさんが求めてきていたものを
ちゃんと受け取っていなかったことに
やっと気がついたようです。
コメントありがとうございます!
最近、あることがきっかけで気づいたのですが、目に見えないことが「ある」という方に対して(その方はユウレイが見えるとのことだったのですが」
「ウッソー」というのが私。
でも、私たちは
「え、どんな様子をしていますか?」
「どこに立っていますか?」
「何かおしゃべりしてますか?」
とか、まずは確認しなくちゃいけないんですよね。
これもCarolfingさんのおっしゃる「型にはめない」に近いんじゃないかなと思い、コメントさせていただきました(#^.^#)