2015年12月22日

アドラー心理学と科学、二重心理学について

巷にあふれるアドラー心理学の入門書はとても読みやすく「ふんふん」と納得ずくで読める内容ですが、アドラー心理学は本来ハウツーのテクニックではなく、本格的に技術として利用したいと思う場合には思想を学ばなくては何の役にも立たないことがよく分かります。
そう説明すると、アドラー心理学とは頭で考える学問かと勘違いする方が必ずいらっしゃるのですが、そうではなく理論を理解せず実践はできないということが言いたいのです。

何を行うのにも手順は必要です。
見て習え、見て盗めの技術的な手順もありますし、仮説を立てて取り組む科学実験のようなものもあります(ここを理解できない見て習え系の方に学問的な話をするとすぐにアタマデッカチとか言いたがりますね)。
心理学は科学です。
事象=event=出来事を観察し、観察から理論ができました。
中世では観察の部分がなく、代わりに本や聖書を読みました(目の前の事象の観察ができず、youtubeばかり見ていると中世的な学習法となります)。
ルネサンス時代に天文学が発達したことにより、聖書から科学へと、つまりは神から人間による観察に比重が移りました。

これに恐れを抱いた教会が科学者を処刑するなどという暴挙に出ましたが、「二重心理論」がもたらされたことにより、この神VS科学対決に終止符が打たれます。
科学−できるか できないか
思想−すべきか すべきではないか※  ※科学はここを保留します。
道徳的真理−教会の管轄
事実的真理−大学(教育機関)が管轄
これが二重心理論です。

ところが科学は「できる、できない」の世界でありグレーゾンは存在しません。0か1かの世界で、そこに個人の考えが入り込む余地はありません。
科学には倫理が存在しない、というのはこういうことです。
その科学をどう使うか、その使い道により科学は善にもなり、悪にもなり得ます。
化学薬剤は使い方によって人を助けもしますが、人を殺めもします。

さて、科学の成り立ちとアドラー心理学を図式的に見てみたいと思います。

事象→ → → 観察
↓           ↓
↓          仮説(この部分にアドラーの心理学を当てはめる)⇒理論  
↓           ↓
事象← ← ← 予測    

心は観察できませんので、心を扱う代わりにアドラーはエピソード(患者さんの語る内容)を観察対象としました。一度限り起こった出来事をエピソードと呼びますが、現在ではストーリーまたはnarrativeと呼ぶことが多いようです。 

予測と制御が科学の目的ですが、アドラー心理学に当てはめると不適切な行動を予測/制御することが目的となります。

大切なことをひとつ書き忘れていましたが、科学とは真理ではありません。科学≠真理。
生命体を扱っているのに心理的なことを脇において治療結果を出したいとか、人間は機械のようにはできていないのです(わかっていても、という方も多いのですが)。

ここまでは序章の中の序章で、一歩を踏み出したか踏み出さないかの段階です。
まだまだ学ぶことばかりです。
講座では質問を受け付けてくださるのですが「的外れな質問だろうなあ」と思いながらも的はずれな質問をし(無記名だからこそ質問ができます)呆れられている日々ですがこれもまた楽しかったりします。

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