大枠を理解してから細部を知ることが新しいことを学ぶときの最短ルートだと思います。
そうしないと、これまで学んだ技術と新しい技術との類似点が際立って感じられてしまい、なかなかその認知枠から抜け出すことができません。
トレーニングではなるべく全体像が把握できるよう情報を整理し、なおかつトレーニングを重ねる毎にテクニックの反復をしながら習得できるように工夫をしています。
今回の「解釈フレームの解体」の技術は「解釈フレームからの脱出」と題したテキストを配布しました。
私たちはサバイバル本能を持つがゆえに、五感で感じるものに意味づけをします。
ひとつひとつの図形に意味がなくてもそれが連続で並べられればそこに何らかの関連を想定し、物語を作ってしまうのが知能を持った人間の定めです。
しかしながら、この知能が私たちの認知枠を狭め、自らの経験や傾向に自分を閉じ込め、自分だけの世界に生きることを許してしまいます。
例えばただの棒状の線が並んでいる図形を見ると「視覚的」にそれに物語を作るのと同様に、「言語=世界の切り取り」によって私たちは自分の動作や運動に漠然とした意味づけを行います。
例えば「歩く」の言葉は左右の足を交互に動かし、それによって身体を進行方向へと方向に移動させる物語を躊躇なく作り上げます。
こうした物語=解釈フレーム(言葉による世界の切り取り)から抜け出すため、動作を細分化し、それをソマティクスとして応用するための7つの基本的方法をお伝えしました。
オープンパスメソッド(R)のソマティカルワークには一切のマニュアルはありません。
それは、人間はそれぞれに異なる生き物であり、特有の身体と世界観を持っていることを尊重するためです。
クライアントセンタードのセッションを提供するためには、常にクライアントの世界を理解しようとする立場でいることが必要であり、ワーカー側の一方的な誘導にクライアントを従わせることを良しとしません。
演習では、ペアを組んだ相手の方の「苦手な動作の改善」を行いました。
全員で動きの分析をし、関連筋を割りだし、それを効果的に動かすための言葉がけを考えつつ30分のショートセッションを行いました。
感覚モダリティとクオリティ、五感と体性感覚、多重タスクの利用を行うわけですが、これはクライアント側が行うのだけではなくワーカー側も同時に行う必要があるため、慣れるまではワーカー側は非常に疲労します。
初めての演習だったのにも関わらず、みなさん驚くほど上手に誘導できていて驚きました。
また、演習の意図も理解してくださっていて、具体的なアドバイスで出来るくらいの習熟度でした。
持ち寄ってくださったおやつの消費量がいつも以上に多かったのを見て「慣れない演習続きだから脳が欲しているんだなあ」と可笑しくなりました。
ソマティカルワークでは「こんなことできないだろう」とか「本当に利くの?」「役に立つの?」と思われるだろうテクニックが、嘘ではなく強力なツールになることをお伝えしたいと思いながら毎回楽しみつつ、悩みつつ、取り組んでいます。
