授業を欠席した場合は、セッション時間を利用して補講を受けていただいています。
今回の補講の対象筋は下腿前側コンパートメントと大腿二頭筋(長頭と短頭)でした。
下肢の筋肉は「骨を中心としてどこにどんな働きの筋があるのか」を把握すると理解しやすいように思います。
例えば、今回対象となった前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋は前側コンパートメントに入っています。
前側コンパートメントは足の前側に位置しており、主な働きとして足を内反させる作用、足を底屈させる作用、足指を伸ばす作用を持つ筋肉が含まれています。
前側コンパートメントに入る前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋は隣り合ったり重なり合ったりしています。
あらかじめ、その走行と重なり具合を確認することで、特に長母趾伸筋は見失って戸惑う可能性がかなり低くなります。

前脛骨筋を触察する場合には、長趾伸筋と長母趾伸筋をお休みさせておくと触察しやすくなります。
そのため、両筋の起始を手で押さえることによって(足指を屈曲位で押さえる)働きを抑制することができます。
下腿の筋で特記すべきことのひとつに、外果の背側、内果の背側(および前方)を走行する筋の筋腱が、足底のアーチに影響を与えるということです。
外果の背側にあり影響を外側アーチに影響を与えるのは腓骨筋群の腱、内果の背側にあり内側アーチに影響を与えるのが後脛骨筋です。前方には前脛骨筋権、長母趾屈筋腱があります。
これらの筋は、筋の走行(起始停止)と筋の働きとを対にして記憶し、しっかりと触察できるべきです。
(足部の外転/内転、内反/外反の違いを復習しておいてください)
大腿二頭筋長頭の触察は難しくありませんが、その下位に位置する短頭は、長頭を介して触察する必要があるため、触察の姿位に工夫が必要があります。

多関節筋である大腿二頭筋をお休みさせるためには、股関節を伸展し膝関節を屈曲します。
膝関節の屈曲を促す前に、大転子から大腿骨粗線を遠位に下りていきます。
触察する手をソナーのように使い、下からの押し返しに変化が現れた部位が大腿二頭筋短頭が長頭腱に付着している場所となります。
だいたいの目安をつけたら、膝関節を屈曲させ短頭の停止に手を置き、膝関節の屈曲伸展を繰り返します。
大腿二頭筋長頭が働かないよう、屈曲伸展の動きをうまくリードします。
上記の4筋以外にも足根部の骨指標の確認をしました。
下腿の筋が付着する舟状骨粗面や内側楔状骨、第5中足骨粗面、母子中足骨粗面は最低限触察できる必要がありますが、それ以外にも載距突起、距骨下関節、中間/外側楔状骨、立法骨、リスフラン関節、足根洞、ショーパール結節は今後触察する筋肉の指標となり得ますので、気を抜かずに触察練習を続けていただきたいと思います。
7筋+骨指標18か所を90分で補習できました。上出来だと思います!